September 7th, 2008 - "ゼンコー" 吉田選手の対戦相手カロくん欠場

いやぁ〜、参りました。
現地時間の木曜日に地元のスポーツ・バー「STATS」で行われた記者会見の時は、カロくん、ピンピンしてたんですよ。

あれ、ちょっと痩せたかな。

思ったよりも小さいね、な〜んてみんな言ってたんですが、私からみたら、あら、ちゃんと練習してきたね。
(「スタミナないっすよ、あいつ」by長南選手、だから)今回はコンディショニング重視の練習してきたんじゃないかなぁ、と感じさせる身体で、そう、痩せているというより、かなりのグッド・シェイプだったと私は思うんです。

ESPNラジオのインタビューでも「とてもいいキャンプができた。今までにない最高のコンディションだ」とカロくんは話していたので、うん、これはいい闘いになるぞ、とワクワクしてたんですけどね。

ちなみに今回のUFC 88の記者会見に出席した選手はチャック、ラシャード、リッチ、マットにカロくんとゼンコー選手の6人のみ。
つまりこの三試合が今大会で一番注目されていたカード、そしてUFCが一番プッシュしていた試合だったんです。
更には、WOWWOWの手配だったと思うんですが、日本の一般マスコミの方々も思ったよりたくさん来ていて、いい感じで盛り上がってたんですよぉ〜。

それなのに.........。

よっしゃ計量いくぜい!とみんなでゼンコー選手の部屋をでて、エレベーター待っている時に私の携帯が鳴ったんです。

「すぐに14階にきてくれ、話したい事がある」

何か嫌な予感はしたんです。
まぁ、でもゼンコー選手や朝日(昇)さんたちにはロビーでちょっと待っていてください、と私だけUFCの仮設オフィスがある14階でエレベーターおりたんですが.....。

要は「ダナ(ホワイト)もジョー(シルバ)も何度もカロと話したんだけど駄目なんだ。背中の怪我らしい。アイム・ソーリー。すでにダナとジョーは計量会場にいるから、ディテールはそっちで話してください」という事だったので、ロビーでゼンコー選手にバッド・ニュースを通達。
取り敢えず計量会場にいってダナかジョーと話そう、という事になったんです。

さて、こういった場合、代替の選手を探すのは可能なのか?
カロはドクターからの診断書を持っているのか?
そしてこれはゼンコー選手の不戦勝にならないのか?
あとファイトマネーは貰えるのか?
再戦は組んでもらえるのか?

はい、すべてここでご説明させて頂きます。

まず代替の選手。

これは残念なことに、計量スタートの二時間前では限りなく不可能に近いんです。
もしもカロくんが駄目と判明したのが木曜日なら可能だったんですが.....

それはなぜか。

簡単なことなんです。

アスレチック・コミッションが全選手に定めているメディカル・テストなどの承認プロセスが間に合わないからなんです。

すでにジョージア州のファイター・ライセンスを持っていて、三ヶ月以内にすべてのメディカル・テストを終えている選手というのが都合よく見つかったら話は別なんですが、その選手がメディカル・テストなど全部の書類を持って計量できる状態で会場まで二時間以内にこれるのか.............。
それは現実的に考えると、やっぱり無理だったんです。
だから限りなく不可能に近いノーなんです。

ほんと、これが木曜日の夜とかにわかっていれば、UFCなら誰か探したと思うんです。
でも計量スタートの二時間前では、やっぱり、どうしても無理だったんです。

さて、カロくんは試合にはでれないという事が明記してあるドクターの診断書を持っているのか?

まず答えからいいますと、持っていません。

カロくんからの説明によるとー
計量前日の木曜日の夜、練習中に腰を負傷。
その時はちょっと腰に違和感があった程度だったので、まぁ、大丈夫だろうと寝たんだけど、金曜日の朝起きたら、痛みは腰だけでなく左足全体にきており、それこそ松葉杖なしでは歩けない状態。
だからどうしもて試合は無理、というのが本人の判断であって、これは別にアスレチック・コミッションのドクターが診断して試合は無理という判断を下した、という訳ではないんです。
ですから、あくまでも、これでは試合できない、という本人の判断によっての欠場なんです。

だからダナもジョーも何度もカロくんと話し「本当に駄目なのか?」とそれこそ何十回も確認したのですが、やはりカロくん自身が「どうしても無理」という事なので、これは無理となってしまったんです。

そうなるとゼンコー選手陣営の我々としては、それなら月曜日に地元に戻ったらすぐに医者にみてもらい、診断書と、後はレントゲンでもMRIでも何らかの証拠を提出すること、という要求をするだけで、他には何もできないんです。

それなら少なくともゼンコー選手の不戦勝にならないのか?

これなんですけど.........

これもまた簡単な論理とルールが存在しておりまして、まぁ、だからカロくん、計量寸前に欠場という決断を下したんだと思うんですが.......。

計量が終わっていないという事は試合が成立していない、という事なんです。

これが計量後、試合当日に駄目となったのなら不戦勝になるのですが、計量をパスしていないという事は、試合不成立イコール試合そのものがキャンセルという解釈なんです。
まぁ、これはどの州のアスレチック・コミッションのルールでもそうなっているので、受け入れるしかないんです.................。
(ちなみに、こういったルールはUFCが決めるものではなく各州のアスレチック・コミッションの裁定に委ねられるんです。ですからもしもダナ様がアントニオ猪木並みの強権発動をしても、全然関係ないんですね。ズッファが決めることではないですから)

次はファイトマネー。

これはもちろん全額貰えます。
火曜日から現地入りして、今回は公開練習、ビデオ・インタビュー、あとは記者会見とUFCのプロモーションのタメに仕事をした訳ですし、それがなかったとしても、この試合に向けて二ヶ月以上の準備を積んできた、という事はもうすでにUFCの試合のためにたくさん「仕事」をしている訳ですから、これは支払われて当然なんです。
が、正確な事をいうと、試合が中止になった場合の選手へのファイトマネーの支払いに関しては、アスレチック.コミッション管轄ではないので、各プロモーションによって微妙に異なるんです。

比較的にファイトマネーの額が大きいボクシングの試合では計量前に相手の選手がアウトとなり、代替の選手の手配ができず試合がとんでしまった場合は、ファイトマネーの25%が選手には支払われるという変な「しきたり」が存在しているらしいのですが、少なくともアメリカのメジャーなMMAのプロモーションでは、こういった場合はちゃんと全額払ってくれるケースがほとんどです。
という訳で、今回のケースはゼンコー選手には全額支払われ、そして欠場となったカロくんへの支払いはゼロとなりました。

*ちなみに、多分みなさんもご存知だと思いますが、アメリカとカナダ以外の総合の団体では、こういった場合、選手にファイトマネー全額支払ってくれることはほとんど無いと思います。(これについてはまた後日どこかで機会があったら書かせて頂きます)
ですからそれに比べると、まだアメリカのメジャーのMMAプロモーションはちゃんと全額払ってくれるからいいと思うんですよね。

そして、再戦は組んでもらえるのか?
これも当然、答えはイエスです。
カロくんの怪我が完治するまでこちらは待つつもりはて〜んでないんで、これは11月にはすぐに他の試合を組んでくれ、という事で私がいまスッファと交渉している所であります。
現場では、ダナもジョーもすぐに試合を組むから、ほんとにアイム・ソーリー、とゼンコー選手本人にも説明してくれたので、これは11月には試合を組んでくれることはほぼ間違いないと思います。

だから早く次の試合きめようぜぇ〜!と私がジョーを突っついている最中、という事であります。

さて、それから、最後にまだまだ大きな問題が、もう一つ残っているんです。

それは、スポンサー収入に関してなんです。

みなさんもご存知の通りー

UFCは今スポンサー天国でありまして、ほとんどの選手が一試合につきファイトマネーと同額またはそれ以上のフィーをスポンサーから得ているんですね。

今回のゼンコー選手にも5社スポンサーがついてましたので、試合があれば、そこからの収入も入ってくる契約になっていたのですが.......
試合がない、という事は入場時や判定時に着るTシャツや試合で履くトランクスに載っている企業のロゴがまったくテレビに映る事がないという事になるので、そうなるとこれは大きな大きな収入減になってしまうんです。

それでは堪らん!という事で、私がファイトマネーや次の試合のことなどの他にすぐに真っ先にズッファと交渉したのはー

それなら、少なくとも最前列にゼンコー選手を座らせて、PPV生中継枠内で、カロくん欠場になって試合がなくなったゼンコー選手ですと紹介し、座席に座っているゼンコー選手の抜きのカットを必ずいれてくれ、という事だったんです。

そうすればスポンサーのロゴの入ったTシャツを着たゼンコー選手のカットが生中継で流れるので、少なくとも私が各スポンサーに連絡して、全額駄目だとしても何パーセントか払ってください、と交渉できるからなんです。

これに関しては、さすが、ズッファ。
ちょっと待って、とテレビのプロデューサーやイベント・オペレーションの副社長に相談してくれて、10分でオッケーの決断を下してくれたんです。

という訳で、ゼンコー選手はランディ、ランペイジ、グリフィン、ミゲル・トレス、ファイバーらとVIPセクションの最前列に座り(ちなみにハリウッド女優のマンディー・ムーアらセレブはその後ろ二列目でした)、PPV生中継枠の中で、まぁ数秒でしたが、スポンサーのロゴがついたTシャツを着たゼンコー選手を紹介してくれたので、今日こちらは月曜日なのですが、私がいまスポンサー各社に電話して、ちょっとでもいいからお金ちょ〜だい、と交渉している所なのであります。(苦笑

あ、あと最後にー
カロくんは、実際にゼンコー選手のもとに「悪かったな、アイム・ソーリー」と挨拶にきたのか?
これもちょっと気になりませんか?

これなんですが、計量会場から戻ってきて、あ〜あ、試合ないからみんなでヤケクソ焼き肉でも喰いにいきますか、と我々が泊まってたシェラトン・ホテルの正面玄関で車を待っていた時に、何とたまたまびっこひいたカロくんがタクシーに乗り込む所を発見したんです。

選手はみんなウエスティン・ホテルに宿泊していたので、シェラトンにカロくんがいたのはこれは完全に偶然だったのですが.....。

タクシーに乗り込もうとするカロくんの背中に、おい、カロ、ヨシダ選手いるぞ、そこに、ちょっと話そうや、と私、声かけたんです。

そうしたら、カロくん、すぐに私の所にきて、ヨシダ選手に謝りたいというので、ゼンコー選手を呼んで、話しをする機会ができたんです。

カロくんはしきりに謝っておりました。

「ヨシダ、あなたのことは本当にリスペクトしてます。だから今回もしっかりと練習してきたんだ。でも昨日の夜、マットで軽くグラップリングしていた時に腰がポキッとなったんです。その時は大丈夫だろうと思ってたんだけど朝起きたらもう痛みが足まできて、全然駄目なんだ。ベストから程遠い状態なのでこのまま試合するのもリスペクトに欠けると思ったし、本当にアイム・ソーリー」

と何度も頭を下げてくれたんです。

でもカロくん、パニック症候群だ、不眠症だと最近問題が多いんですが、何か弱そうな目をしていました。

UFCのウエルター戦線で長くトップを張っていた選手なので、ちゃんと完治してカムバックして欲しいですが、でもあの目はファイターの目じゃなかったなぁ。

大丈夫かい、カロくん?とちょっと心配になっちゃいました。

さて、今回こういった事があった中で、またまた、ほんとこの人はいい人だよ、と痛感したのが、ランディおじさんですね。

実を言うとランディはカロくんと練習した事もあるんで、まぁ、どちらかというとカロ陣営の人なんですね。

でも計量会場では私の所にきて、ほんとに残念だ、と言ってくれたし、当日も会場で、前座の試合のときにゼンコー選手の隣に少し座って、話しかけてくれて、しかも、その前座の試合を観ながら、UFCで勝つためにはこういう闘い方は駄目だ、もう時代は変わっているから、と技術についても一言二言アドバイスしてくれたんです。

まぁ、そのアドバイスの中身はもちろんここでは書けませんが.........。

そうなんです、あの天下のランディおじさんが気にして声をかけてくれて、しかもほんの少しですが、オクタゴン技術に関しての持論もゼンコー選手とシェアしてくれたんですよ。

ほんと、いい人だと思いません?

もうこういった事があると、いつかヒョードルとやる時がきたら、かなりキツいと思うけど(汗)、是非、勝って欲しいなぁ〜、と思っちゃうんですよね。

という訳で、かなり長々と書いてしまったので、今日はここまでとさせて頂きます。
スポンサーに電話しなくちゃいけないし。(苦笑

最後に写真を一枚。
これ、計量会場からホテルに戻るときの、車を待っているゼンコー選手とランディおじさんです。

みんなで、誰か明日ゼンコー選手と試合できる選手いないかねぇ〜、と話していたら、UFCのスタッフのひとりが、ランディは?なんていうから、

「え、でも体重全然違うし、けど、ファイトマネー、ランディと同額なら、ゼンコーくん、もちろんやるよね?」

な〜んてバカ話をしていた時のワンカットです。

いい感じでしょ。

ほんとランディおじさん、最高にいい人です。

それでは、今週中にゼンコー選手の次の試合が決められるようにして、なるべく早くこのブログでもみなさんにそのご報告できるようにしたいと思っておりますので、ちょっと待ってくださぁ〜い!

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by shu_hirata | 2008-09-08 12:03


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